『儚い羊たちの祝宴』《米澤穂信著》は美しい夢を見ているかのよう

《あらすじ》

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

《感想》

  • 短編5作品で「バベルの会」という読書サークルで登場人物が繋がっている
  • 物語全体の言葉遣いがとにもかくにも美しくて読んでいてうっとりする(入り込める)

わたしは、夜の自分を誰にも見られない場所に閉じ込めることを希求した。
壁に厚みを、部屋に鍵を望んだのだ。……しかしわたしは眠りをどこまでも恐れながら、その恐れにも惹かれていた。
(身内に不幸がありまして)

  • 各ストーリーに出てくるモチーフや小物にこだわりを感じる。詳細に想像しながらも楽しめる作品。
  • 5作品繋がってるようで独立しているので、好きな時にあっさり読める
  • 私の一番オススメは「玉野五十鈴の誉れ」。

その日の「バベルの会」の世話には、五十鈴が加わった。彼女はいつも通りに仕事をした。つまり差し出がましいことをせずにあくまで控えめに、しかし誰かが何かを望んだときには既に用意を済ませていた。お茶は適温で、カップを運んでも水面にさざなみひとつ立たない。いつもの五十鈴だった。(玉野五十鈴の誉れ)

《著者について》

米澤穂信(よねざわほのぶ)
1978年岐阜県出身。金沢大学文学部卒業後2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞受賞。後「インシミテル」「追想五断章」などミステリ大賞候補に選出。2008年『満願』で第27回山本周五郎賞受賞。

シェアする